◇入校のすすめ『学歴を取るか学習歴を取るか』

札 幌 高 等 技 術 専 門 校  校 長

職業訓練法人 札幌市建築業組合 理事長

細 坂 一 美

 

                             もう、死語になるかもしれない「団塊世代」は65歳以上となったが、当時は集団就職という中学校を

                            卒業したら、親元を離れて東京などの大都会に皆で就職し、日本の高度成長を支えた世代である。

                             この頃は、技能オリンピックでも断トツの金メダルばかりで「技能大国日本」とも呼ばれ、現在の中国

                            のように海外の製品は全てMade in JAPANであった。当時、大学卒は38%程度で求人倍率は3倍と

                            なっており、1964年の東京オリンピックは日本経済の絶頂期で、職人の世界でも普通のサラリーマン

                            よりも年収が高く、生涯収入が約2億円で技能があれば何処でも稼げる時代であった。また入職率も

                            高く若者の労働力はあり余っていた時代である。

                              ここに落し穴があった。当時は石田博英という力がある人が労働大臣になっており、東北・北海道は

                            毎年、冬になると積雪寒冷で仕事ができない特殊な地域であると「季節雇用」を認め、失業保険を90日

                            分支給するとしてしまった事と、大工等は技能集団として独り親方ばかりで形成され、請負制や日給制で

                            働き、失業保険欲しさからか「籍だけを置いて」色々な企業を転々と渡り歩いて仕事をしていた。労災保

                           険もあったが、基本的には対象になっていたかもわからず、たまたま仕事をしていた企業で労災事故が

                           あった時に、救済されたかどうかも定かではない。下手をすると、失業保険の掛かっている企業以外で

                            事故に遭っていたような世界であった。結論は「日雇い労働者」である。 この様な保証のない職業であっ

                           たが、高度成長やバブルのお陰で「金を稼げる」職業となっていた。

                              しかし、家庭で異変が起きたのである。母親たちがこぞって自分の子供に対し、「勉強しなさい!勉強

                             しなかったらお父さんの様になるよ」と叱り、いきなり高学歴化の波が押し寄せてきた。学校の数が足り

                            なければ、高校・大学を増やす様に声を上げ、小学区制を廃止し大学区制にして自由に受験できるよう

                            にしたところ、最終目標が大学に入学する事となり、学生の量(人数)は増えたが、逆に質の低下を招き

                            現在の様な「正社員」にはなれず、不本意な非正規労働者になり下がってしまっている。また、大学等も

                            定員割れを起こしたり、地方では少子化の為に小・中学校の閉校も増えている。

                             故田中角栄元総理は生前、この様な事を言っていた。「草鞋を編む人、かごに乗る人、かごを担ぐ人」

                            この言葉の意味を訳すと、たしかに皆が「かごに乗る人」になりたいが、それは一握りの厳しい世界であり、

                            人は生まれたときから役割が決まっているということである。また、そうでなければ世の中は成り立たない。

                            大学・高校を出ようが、社会に出て「お金をいただく」或いは「お金を稼ぐ」事である。この事は、学校では

                             教えてくれない。自分で体験しなければ解らない事である。極論は「物を売る」か「物を造る」かであるが、

                            どちらかが、極端に偏っても上手くはいかない。理想は両方の事を出来ることである。身体で覚える仕事

                            は、早い方が身につけやすい。学科については、並行して行うか、後から資格試験の勉強をする事で追い

                            つくことが可能である。私の持論は、「早く社会に出て仕事を覚えること」である。学力が足りなければ、通

                           信制でも定時制でも勉強する事ができるが、仕事に直結していなければ意味はない。

                            本校は、中学校を卒業した方を中心とした2年制の学校である。学力と技術力を同時に身につけること

                            ができる、唯一の専門校と自負している。志ある者は、本校の門を叩いてもらいたい。

                           

 

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